長崎市幹部から性暴力を受けた女性記者が市に謝罪と賠償を求める
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2007年に長崎市幹部から性暴力を受けた女性記者が市に謝罪と賠償を求める裁判の第3回口頭弁論が11月18日長崎地裁(武田瑞佳裁判長)で開かれた。同日事件の被害当事者を支援する日本新聞労働組合連合(南彰委員長)と「長崎市幹部による性暴力被害者を支える会」が共催するフラワーデモが行われた。
前日には、労連主催のシンポジウム「#MeTooメディア 私たちは変われるか」が開催され、100人以上が参加し、メディア業界における性暴力やセクシュアルハラスメントについて、話し合われた。
原告弁護団によると、18日の公判では、原告側は、事前に被告の市側が提出していた「求釈明」の申し立てに対して、その位置付けを確認。さらに、市側の答弁書の内容に対して反論し、原告の意見陳述を行なった。公判後の報告集会で、中野弁護士は「被告から(求釈明の)釈明事項が25項目あり、その基本的観点は社会的偏見や強かん神話、違法な判断基準に基づくものだ」などと話した。
フラワーデモは、公判前に市の中心部で行われ、市民や組合員ら約70人が参加し性被害の根絶を訴えた。デモでは原告の女性記者以外に、過去に同県内で取材先の警察官から性被害を受けた別の記者など女性2人から託されたメッセージも読み上げられた。
また、前日のシンポジウムではパネルディスカッションがあり、作家の北原みのりさんやハフポスト日本版記者の湊彬子さんが登壇。討論は、性暴力やセクハラが権力者からの犯罪でありながら、プライベートな関係における問題として扱われたり、被害者が加害者にさせられたりする現状をテーマに行われた。
登壇した中野弁護士は「女性記者に対する性暴力は報道の萎縮につながるため、報道の自由を侵害する民主主義の問題として考えるべきだ」と主張した。北原さんは「メディアで扱う話やニュースが女性視点で語られていない。ニュースを消費する側は半分女性であり、そこに性暴力の被害者がいるかもしれないという視点がない」とジェンダーや被害者配慮の視点が欠けている報道の姿勢を批判した。
また、支援者から原告の女性記者のメッセージが代読された。メッセージの一部は以下の通り。「性暴力は1人で巻き込まれるので、気付かれにくいし助けにつながりにくい。他の人には無事に朝がきても、自分だけ地獄が始まります」「女性や子どもに対する暴力は至るところで起きます。これを一掃できる策はなく、回復には長い道のりが必要ですが、周りが気づき「それってしょうがないよね」という言葉をのみ込んで接するだけで、道はだいぶ開けると思います」