ジェンダー平等、女性登用を訴えメディア労組らが会見

ジェンダー平等、女性登用を訴えメディア労組らが会見
メディアの業界団体に対し、役員の女性比率を3割以上にするよう要請した労組など(外国特派員協会/FCCJにて。2021年2月10日)

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新聞や放送、出版といった日本の伝統的メディアは驚くべき男性支配状態である。

そんな実態を踏まえ、新聞と出版、民間放送の労働組合などが各業界団体に対して、女性を役員や意思決定に関わるポストに積極登用するよう要請した。

新聞労連、出版労連、民放労連などの代表者ら(厚労省内記者クラブにて、2021年2月9日)

多様性のある魅力的なコンテンツをつくり、発信するためには意思決定に関与する層の多様化が不可欠で、社会から強く求められている、としている。

新聞労連と出版労連、民放労連のメディアの3労組と「メディアで働く女性ネットワーク」(WiMN)の代表の女性たちが2月9、10日、東京都内の外国特派員協会(FCCJ)などで記者会見して発表した。

4団体によると、在京・在阪放送局の番組制作部門に女性は0人、新聞社の会社法上の役員は10人、記者のうち広義の管理職は22.4%にとどまっている。主要出版社(41社)では全体として女性の従業員比率は放送や新聞より多く、女性の編集長も多くいるが、その上の役員クラスは8.3%程度と低いままだ。

また、業界団体の女性役員も少ない。新聞社と放送局が参加する日本新聞協会の役員に女性はゼロという実態である。

これらの数字は、国が男女共同参画基本計画で示している「2020年度までに3割」や国連の指標を大きく下回っているという。

4団体の代表は「各業界とも、現場レベルでは女性が増えているが、役員など意思決定に関わる立場で女性が少ないのが問題。特別枠を設けて増やすべきだ。メディアが社会の流れからかい離していては、読者視聴者から見放される」と指摘。

メディアの業界団体に対し、役員の女性比率を3割以上にするよう要請した労組など(外国特派員協会/FCCJにて。2021年2月10日)

4団体は、日本新聞協会と日本民間放送連盟、日本書籍出版協会、日本雑誌協会に対し▽業界団体の女性比率を3割以上にすること▽ジェンダーと男女共同参画を重要事項として常設委員会で取り扱う▽各加盟社が役員の3割を女性にする目標と計画の設置、実施を促す――などを求めている。

新聞労連の吉永磨美委員長は「積極的な女性登用を『お願い』するのはもうこれで終わりにしたい。経営者たちに言いたいのは、ぜひ一緒にやりましょう、業界を変えましょう、そうしないと後がないですよ、ということだ」と強調した。
外国特派員協会での記者会見では、森喜郎・元首相の女性蔑視発言に関連して、「ストライキをすることは考えていないのか」といった質問が出るなど、高い関心を呼んだ。外国人特派員協会の会見は ホームページ で視聴可能だ。